Faculty of International Studies
更新日:2025年07月28日
学生の活動
【国際学部】学生広報委員による先生インタビュー⑨~市山先生編~
皆さんこんにちは。学生広報委員の大山英です。
国際学部の先生方に「20代前半は何をし、何を考えていたのか」インタビューする企画の第9回目は私の憧れである市山陽子先生にインタビューしました。
① 大学時代は何を学んでいましたか?その分野を専攻にしたきっかけはありますか?
子どもの頃にアイルランドで5年間過ごした経験が、私の学びの原点です。イギリスとアイルランドの間には複雑で時に痛ましい歴史があり、それを身近に感じる出来事もありました。その体験が、アイルランドとは逆の視点であるイギリスを知りたいと思うきっかけになりました。イギリス留学を通して植民地政策やアイルランド独立の歴史を学ぶ中で、ものごとを多角的にとらえる視点の大切さを実感しました。また、言語もまた両国関係の一因であることに気づき、言語学への興味が深まりました。
② 大学時代に力を入れて取り組んでいたことは何ですか?
将来の夢は何でしたか?また、当時の不安や悩みがあったら教えてください。
国際学部の皆さんも一度は興味を持たれると思いますが、やはり留学は大学時代に最も力を入れて取り組んだことの一つであり、将来の夢もその経験を活かした仕事をすることでした。
イギリス留学中に最も強く感じたのは、「英語力そのものよりも、英語でどのように研究を組み立てるか」が課題であるということでした。スピーキングには自信があったものの、アカデミックな文章を書く力が不足しており、特にエクセター大学大学院で修士論文を執筆する頃は大きな不安を抱えていました。後々分かったことですが、語学力の問題ではなく学ぶ姿勢が大事ということでした。振り返ると、ロールモデルの選び方にも少し無理があったのかもしれません。英語が母語のイギリス人をお手本にしても、語学力や思考法の基盤から異なり、限界を感じる瞬間がありました。そこで、ダーラム大学大学院で博士論文を執筆した時は過去の留学生が執筆した博士論文を大学のアーカイブで読み漁ることから始めました。これにより、スタンダードな研究手法や論理的な展開方法、そして何が評価されるのかを理解できるようになりました。また、多読を通じて分析力や統計的思考が自然と身についたように思います。この経験は、今の私の研究活動の基盤となっています。
自分が20代のころに抱えていた課題に、逃げずに真摯に向き合ってきたことで、当時の経験が今では自分の強みの一つとなっていると感じることに、深い感慨を覚えています。
③ 学生時代にやっておけば良かったことはありますか?
調べたり考えたりするのは好きだったのですが、それを外に向けて発信することには消極的でした。皆さんの世代であればブログやSNSなど便利なツールがありますが、自分の考えを言葉にして残しておく習慣があれば、思考の整理にもなったし、後々の研究や仕事にも活かせたと思います。
また、統計やデータ分析の面白さに気づいたのはずいぶん後でした。もう少し早く出会えていれば、研究の幅も広がったのではないかと感じています。
④国際学部の学生にメッセージをお願いします。
大山さんも留学直前ということで留学先での生活に期待を膨らませている時期ですね。国際学部にいる皆さんも、きっと世界への関心や学びへの意欲を強く持っていることと思います。そんな皆さんにお伝えしたいのは、「助け」や「アドバイス」を求める際には、その先のことも少しだけ自分で調べておくことの大切さです。
先ほどのロールモデルの話にもつながるのですが、誰もがすべてに精通しているわけではありません。ですから、自分にとって本当に合った人や情報にたどり着くためには、事前に相談先の専門や関心領域を知っておくことが、ミスマッチを減らし、より実りある対話につながるはずです。調べる姿勢が、自分自身の学びの質を高める第一歩になると思います。
― 今一番行きたい国とその理由を教えてください ー
「一番」と言われると迷いますが、イギリスやアイルランドはこれからも何度か行くつもりです。それとは別に、行ったことがない国で興味があるのはインドです。アイルランドと同じく、イギリスの植民地であったインドには学術的な関心もありますが、実はお茶が大好きで、本場のダージリンティー畑を訪れてみたいです。ちょっとミーハーかもしれませんが、そういう旅の理由も案外大事かなと思っています。
今回のインタビューを通して、ロールモデルの選び方のお話が印象的でした。私自身これから留学に挑戦しますが、「語学力」にとても不安を抱いていました。しかし、ロールモデルのお話や「語学力ではなく学ぶ姿勢が大事」と伺ったことで留学に対する気持ちがとても前向きになりました。
学生広報委員 大山英